今どき紙の履歴書・職務経歴書を送る会社は遅れている?応募をやめる前に考えるべきこと

最終更新日:2021/07/07

仕事探しのために求人広告や求人票を見ていて、「なぜ?」「どうして?」と思うことはありませんか。実は求人広告や求人票の書き方には、採用する側の意図が表れていることが多く、正しく読み取ることでより効率的に転職活動を進めることができます。そこで今回は「第一志望の企業に内定をもらいたい」「効率的に転職先を探したい」という方に向けて、採用の裏側をこっそりお教えします。テーマは、「紙の履歴書や職務経歴書の送付を応募条件にする企業は何を考えているのか」です。

この記事を書いた人

田島 由雄。採用コンサルタント。これまでのべ200社以上の中小企業の採用支援に関わってきた。特に採用が難しい製造業や飲食店、警備会社などの顧客が多数。

オンライン化と長期的な採用難によって、採用活動の簡略化とスピードアップが進んでいる

転職活動

転職を考えた時、多くの人はまずWebで求人情報を探すのではないでしょうか。大手の求人サイトに会員登録してWebの履歴書・職務経歴書を登録すればボタン1つで簡単に複数の企業に応募することもできます。また、応募から内定までの期間も採用のオンライン化によって大きく変わってきました。2~3日程度で書類選考の結果の連絡がきたり、オンラインでの面接が可能になったりしたことで、応募から1週間程度で内定を出す企業も増えてきています。

かつて、転職活動というのはそれなりに手間がかかるものでした。紙の履歴書を1枚1枚手書きし、写真や切手を貼り、郵送するだけでちょっとした手間です。企業に到着するまで2日かかるとして、そこから書類選考をして、郵送で返事を出したらまた数日の時間がかかります。今なら応募後すぐにメールで連絡が来て、2~3日後にオンライン面接、その2日後には内定が出る、と短期間で転職先が決まることも珍しくありません。そこには採用のオンライン化だけでなく、長期的な採用難によって「売り手市場」となっていることも関係しています。

大手企業や人気企業は面接回数が多い

大手企業や人気企業は面接回数が多い

複数の求人を見ていると、企業によって選考方法がだいぶ違うことに気づくはずです。「即日内定も可能」「応募から入社まで最短1週間程度」と、採用スピードの速さをアピールする企業もあれば、「写真付き応募書類を郵送」「面接前に説明会あり」「面接回数は3~4回」と、内定まで軽く2ヵ月以上はかかりそうな求人もあります。この差はどこから生まれてくるのでしょうか。

実は選考期間の長さは、ほぼ「その企業やその職種の人気度」を表しています。大手企業や人気企業、待遇のよい企業など、応募が集まりやすく、求職者の「第一志望」になりやすい企業です。求職者から「面接回数が多くなってもこの企業に入りたい」「この会社に入れるなら入社まで多少時間がかかってもいい」と思われているから、あわてて選考を進める必要がないのです。

一方で、大手企業や人気企業のように応募者が集まらない企業は、選考に時間をかけ過ぎるとチャンスを失います。既に一次面接が終わって二次に進んでもらう応募者が、後から募集を開始したもっと条件のいい会社に取られてしまうかもしれないからです。すると、二次面接などしないで「面接一回」で内定を出した方がよいということになます。実際に多くの転職者は最初に内定を出した企業を転職先に選びます。たいてい転職をするときには「今の会社をいつ頃までにやめて、次の会社ですぐに働きたい」とスケジュールを考えるので、なかなか内定を出さない会社を待つわけにいかないからです。

「紙の履歴書・職務経歴書の送付」に込められた意図は何か

「紙の履歴書・職務経歴書の送付」に込められた意図

それなら「紙の履歴書を送って欲しい」という企業はどうなのでしょうか。これにはいくつかの理由があります。

応募者の顔を見たい

紙の書類選考を行う場合、たいてい「履歴書(写真付き)」と記載されているはずです。応募者の見た目を気にする企業は、よくこの手を使います。といっても「女優並みの美人を採用したい」という意味ではないのでご心配なく。清潔感のある服装で、感じのよい表情の写真を選べば、問題はありません。特に人と接する職種の場合、あまり奇抜な髪型・服装の人や、不愛想な人は避けたいという理由から、「応募の最初の段階で写真を見たい」と考えているのです。

本気で転職を考えているか知りたい

まじめに転職活動をしている人には考えられないかもしれませんが、中にはたいして転職する気がないにも関わらず、求人サイトの応募ボタンを押す人も少なくありません。特に好条件の求人などは、明らかに応募資格に当てはまらないのに「もしかしたら合格しちゃうかも?」といった軽い気持ちで応募する人がいるようです。好条件を用意する企業は、それなりの心構えで、真剣に転職を考えている人を採用したいと考えています。つまり「履歴書を書くのは手間」「郵送するのが面倒」と考えるような人はお断り、と思っているのです。

紙の履歴書、職務経歴書を送る時の注意点は?

紙の履歴書、職務経歴書

ここまで読んだ方なら、「そんなに面倒なことを要求するってことは、紙の履歴書や経歴書を要求する企業は人気企業なのでは…」と感づいたかもしれません。大手企業や有名企業は少ないかもしれませんが、こういった企業の中には、まだ小さいけれど急成長している会社、独自のビジネスモデルを築いていて将来性がある会社、社員の待遇や福利厚生が良い会社が見受けられます。そんな会社に選ばれるため、求職者は履歴書・職務経歴書づくりにおいて何に注意すればよいでしょうか。

丁寧に読みやすい字で書く

特別にきれいな字でなくてもいいのですが、相手が読める丁寧な字で書くことが重要です。そもそも読みづらい字だと、選考する側は読む気を失ってしまいます。応募数が多い場合は「書類が読めないから」と落とされてしまうかもしれません。自分で自分の字が読みづらいかを客観的に判断するのは難しいので、書き上げたら家族や知人などに読みにくくないかどうかをチェックしてもらうのもよいでしょう。

写真はきちんとした服装で、気持ち微笑み気味で

高いお金を払って写真館で撮影する必要はありませんが、服装と表情に気をつけましょう。スーツ姿がベストですが、男性ならきちんとしたシャツにネクタイ、女性ならオフィスカジュアルのブラウスなどなら問題ないでしょう。表情は、口がへの字にならないよう、気持ち微笑むくらいで。もちろん、横顔などではなく正面から撮影し、前髪が目にかからないように注意します。スマホで撮影したものでも充分ですが、白い壁などすっきりとした背景になるようにしましょう。中にはスマホで加工した写真を送る人もいるようですが、これは厳禁。不自然なので、すぐにバレます。

切手はきちんと料金分貼る

意外に思われるかもしれませんが、中には切手の金額が足りなかったり、貼るのを忘れた状態で出したりする人もいます。ただでさえ郵送には日数がかかるのに、料金不足で返送されたら大きな時間のロスになり、下手をすると応募の締め切りに間に合わない可能性もあります。郵便局から出すか、難しければはかりなどを使って正確な料金を調べて、必要な切手を用意しましょう。ちなみに、コンビニの中には切手を売っている店も多いので、仕事帰りの遅い時間でも手に入ります。

「応募に手間がかかるから」と紙の履歴書作りを避けるのはもったいない!

紙の履歴書

「人材の採用」は、企業にとってお金も手間もかかるけれど、組織を大きくしていくために必要不可欠です。「採用難」「売り手市場」と言われても、「仕事や転職先の会社についてきちんと調べたりしながら、本気で転職活動をしている人を採用したい」と考える企業がほとんどです。手軽に転職活動をすることばかり考えず、「手間暇を惜しまず、時間をかけると、いい転職先に出会える可能性が高い」ということを忘れないでください。

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