出版業界の編集の仕事内容・年収・やりがい・将来性
最終更新日:2019/04/24
今回は、出版業界の編集としてお勤めの男性(30代前半)にお話を伺いました。出版業界の編集の仕事内容や向き不向き、やりがい、不満、年収について教えていただきました。また楽なのか?それともきつい(激務)のか?将来性はどうなのか?などなど、ざっくばらんに回答してもらいましたので、ぜひ最後までご覧ください。
回答者プロフィール
- お仕事:出版業界 編集
- 会社規模:100~299人
- 勤続年数:4年目
- 新卒 or 中途:中途入社(2社目)
- 前職:出版業 編集
- 雇用形態:正社員
- 現年収:500~599万円(入社時400~499万円)
- 性別:男性(仮名:teku)
- 年代:30代前半
出版業界の編集の仕事内容
書籍・文庫の編集です。編集者というと、ドラマや映画、マンガなどで華々しい職種のように描かれがちですが、実際のところはデスクワークが主体の地味な仕事。著者に原稿の執筆を依頼し、取材に同行し、著者のために必要な調べものを行ない、カメラマンに撮影を依頼し、イラストレーターにイラストを発注し、デザイナーにデザインを作ってもらい、集めた素材を印刷所に入稿する。そして、ゲラと呼ばれる見本刷りに校正校閲を施して著者とやり取りし、最終的に印刷・製本するためのデータを整えるのが仕事です。
出版業界の編集の仕事でやりがい、不満に感じていることは?
やはり、自分が好きな著者、新作を書いてほしいと思う著者、これから売れると思った著者に原稿をお願いしにいき、仕事を受けてもらえたときが一番やりがいを感じます。著者とゲラをやり取りしている間にも、尊敬している著者から知性あふれる回答が返ってくると嬉しいですし、日々勉強になります。また、思い描いていたとおりに現物の本が出来上がると、喜びもひとしおです。そして本が発売され、実際に売れていって2刷、3刷と版を重ねたときにまた喜びがあります。
前述したように、世間のイメージとは異なり、デスクワークが主体です。9分の1くらいは机にしがみついて、ゲラ(原稿)と格闘していることになります。頭脳労働ですから集中力が切れれば疲れますし、糖分も不足します。また、赤ペンや鉛筆を多用するので腱鞘炎にもなりがちです。私は予防のためにあらかじめバンテリンの手首サポーターを着けています。そして、近ごろ悪名高い裁量労働制を敷いている企業の多い業界・職種で、私もその例に漏れず、残業時間は青天井です。体力的にもかなりキツイです。
激務で忙しく、ブラックだと思います。
向いている人、向いてない人
就職面接では必ずといっていいほど「本が好き」と学生が口を揃えて言う業界ですが、ただ好きなだけではやっていけません。ときには好きではない本を作らなければならないこともあります。好きというだけでは体力気力も保ちません。さまざまな方向性の知見や意見に偏見を持たず、柔軟に対応でき、かつ体力がある。もちろん日本語が堪能で、著者に対しては礼儀正しく、きっちりと敬語を使える。でければ字は綺麗な人。そういう人が向いていると思います。
本を読んでいない人、新しいことに興味を持てない人、日本語の読み書きが苦手な人、特に漢字が苦手な人、柔軟な発想を持てない人、敬語を使えず礼儀正しくない人、体力のない人、じっと座っていられる集中力のない人などは向いていないように思います。電話とメールと紙とペンさえあればできる仕事といわれており、実際に忙しいのでメールだけのやり取りで済ませてしまうスタッフもいますが、対人コミュニケーションが苦手な人よりは、得意な人のほうが向いているようにも思います。
出版業界の編集の将来性
将来性がない仕事だと思います。
「出版不況」といわれて久しいように、どんどん商品が売れなくなっているから。それでいて、返品制度・価格維持制度に守られて、出版点数ばかりが増えていく自転車操業で、出版する本が途絶えたらパタリと倒れてしまう形。現場は疲弊するばかりだし、いまや無料で見られるインターネットの情報やコンテンツが氾濫しているので、本はおそらくなくならないとはいえ、好況に転じるまではなかなか難しいと感じます。